2015年12月20日

米中の「密約」と日本

20日朝刊2面【総合・政治】風見鶏 編集委員・秋田浩之
 米中は切っても切れないパイプで結ばれ、日本は何も知らされていない。こんな証言を米国の中国専門家から聞いた。長年、米中の秘密協力にかかわり、「裏の裏」を知るマイケル・ピルズベリー氏(70)だ。
 1970年代以来、中央情報局(CIA)や国防総省の対中政策にたずさわってきた。いまも同省の顧問だ。そんな彼の著作が今秋に邦訳された(『China 2049』)。
 中国はいずれ米国の味方になると信じ、台頭を助けてきた。だが、中国は初めから2049年までに米国を出し抜き、覇権を奪うつもりだった。その戦略はなお進行中だ――。実体験や中国文献をもとに、本でこう警告している。
 彼に最初に会ったのは10月下旬。冷戦以来、米国がどれほど中国を助けてきたかを列挙し、だまされた、と悔やんだ。ならば、米政府も気づき、米中関係は冷えていくのではないか。こう質問すると、とても意外な答えが返ってきた。
 「米中は対立しない。(米中で秩序を仕切る)G2だってあり得る。両国には長い秘密協力の歴史があるからだ。しかも、米国は一切、その実態を日本に教えてこなかった」
 米中がG2に向かうという説は、米国内ではもはや少数派に思える。中国が米国の覇権に挑めば、緊張が高まるからだ。
 実際、複数の米政府高官は「G2など考えられない」と断言する。著名な米戦略家に聞いても「米中の対立は深まり、米国の対中政策は厳しくなっていく」(エドワード・ルトワック氏)との分析が多い。
 なぜ、ピルズベリー氏の読みはちがうのか。11月下旬に再来日した彼にもう一度会い、疑問をぶつけてみた。すると、こんな趣旨の説明が返ってきた。
 次期大統領候補は選挙中には中国をたたくが、就任後、秘密協力の実態をCIAから知らされれば、中国と折り合おうと思い直す。中国側も、強大になるまでは米国との協力が必要なので、本気で怒らせるほどには挑発しない――。
 彼によると、ブッシュ前政権当時、タカ派のチェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官ですら「中国に、過度に強硬に接すべきではない」との認識を示したという。米同時テロや北朝鮮問題で、中国との協力は無視できないからだ。
 では、どちらの予測が正しいのか。カギをにぎるのは、ピルズベリー氏がいう「米中秘密協力」が、どれほどのものなのかだろう。彼はその現状は明かさないが、一端は想像がつく。
 たとえば、アフガニスタンの和平交渉では「米中が水面下で連携している」(国際機関幹部)。朝鮮半島政策やイランの核問題でも、日本が知らない大国ならではの貸し借りが成り立っているかもしれない。
 だが、これらは国家の命運をかけてソ連に対抗した冷戦中の大戦略提携とはちがう。米政府内からも「米中の協力が深まっても、もっと深刻な戦略的対立を中和するのは難しい」との声が聞かれる。あるいは、あっと驚くような密約が米中にあるのだろうか。
 「日本に少し、罪悪感を感じているんだ」。ピルズベリー氏は最後にこうつぶやいた。組むべき友人は、日本ではなく中国だというキッシンジャー元国務長官らの対中重視路線に乗り、日本を軽視してきてしまったからだという。
 南シナ海やサイバー問題などをめぐり、米中の攻防は強まっている。その舞台裏でどんなやり取りがあるのか。両国が対立を深めていくとしても、忘れてはならない視点だ。


世に言う「ニクソン・ショック」は、確かに「キッシンジャー元国務長官らの対中重視路線に乗り、日本を軽視してきてしまった」ということでしょう。
しかし、これもキッシンジャー氏の「ソ連の敵は味方」というプラグマティズムであり、わが方もこの勢いに乗って田中角栄内閣で日中国交正常化を果たすのですから、米当局者が罪悪感を感じるほどでもないと思います。
そもそも論として、いつもアメリカは中国に対して「片思い」なんですね。
ご案内のとおり、アメリカはペリー来航前より太平洋を挟んだ清帝国に対して盛んにアプローチしてきました。
一つには、アヘン戦争以来の欧州列強による中国大陸という巨大な領土とマーケットの蚕食にアメリカも遅れてはならじという焦りと、歴史のない国家が数千年の歴史を誇る文明への憧憬という二つの思いがあったのです。
これは、いまでもアメリカが中国に対してのイメージですし、彼らのトラウマにもなっています。
かつて、米国務長官ジョン・ヘイは中国に進出してきた日本や欧州列強に対し、アメリカ的な正義を振りかざして門戸開放・機会均等・領土保全の三原則を唱えますけど、誰も見向きをしません。
それはそうでしょ、帝国主義時代にあっては権益は力で取りに来いよということであり、綺麗事言って権益を欲しがるアメリカは清ですら相手にしなかったのです。
第二次大戦後、国民党の蒋介石を扶けるも、彼が国共内戦に敗れ逃れた台湾を拠点とした中華民国に対し、1979年カーター大統領は国交を断絶してまでも北京の中共政府に操を立てます。
あるいは、始皇帝が死後の世界まで権力を誇るため遺した「兵馬俑」軍団の中に入ったクリントン大統領が、にこやかにカメラに収まっている姿をみて、この御仁は自分が中華皇帝の部下ですと満天下に示していることを気がついてないのだなと思ったものです。
そこまでして、オバマ大統領と習近平主席とが幾度となく会談したにも関わらず、お互いに信頼を構築するどころか、どんどん関係が悪化している、これをどう見るかということですよ。

かように、アメリカは中国が何たるか全く分かっておらず、一方の中国は歴史も文明もないとアメリカを馬鹿にしているという「片思い」の図式があります。
所詮は「片思い」ですから、「俺の思いを分かってくれ」と懇願することもあれば、「何で俺の思いが分からないのか」と切れることもあります。
アメリカも政権交代するたびに、「俺の思いを分かってくれ」とばかりに「パンダ・ハガー」と呼ばれる親中的な人を駐中大使として任命し、しかし中国の連れない態度で思いが破れると途端に反中的な態度になったりします。
日本とすれば、それは「片思い」なんだよと忠告したい所ですが、アメリカがのめり込んでいるのに、そこに水を差すのも友人としてどうかと、いずれ分かることだというお話しでしょう。
このあたりは、中国とのお付き合いの歴史が日米で俄然違うわけで、これは経験乏しい人にいくら懇々と説いても却って恨みを買うだけです。

「米中は対立しない。(米中で秩序を仕切る)G2だってあり得る。両国には長い秘密協力の歴史があるからだ。しかも、米国は一切、その実態を日本に教えてこなかった」、これも「片思い」の最たるものです。
今も中共政府を支配している「中華主義」とは、要するに天下は中国を中心に回っているという天動説の人たちです。
従って、彼らはG2でなくG1なんですね。
彼らはアジア太平洋の覇権を求めている、これが中国の本質です。
「米中で秩序を仕切る」だなんて、中国も昔と比べると随分と鷹揚になったなどと私たちなら眉に唾をつけますが、アメリカはこうしたフィクションを素朴に信じてしまいます。
秘密協定も結構でしょう、日本がそれも知らなかったも幸いです、ただ私たちにとってアメリカのスタンスが親中から反中と激しく振れないで欲しい、それだけです。
中国の本質を知れば、何が正しくて何が間違っているのかということです。

posted by 泥酔論説委員 at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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