2015年10月23日

物価2%上昇、2割超す 食品など値上げ品目増 生活実感は脱デフレ?

23日朝刊5面【経済】
 モノやサービスの一部に価格上昇の波が広がっている。消費者物価指数の伸び率を支出額に応じた品目割合でみると、約4分の1が前年同月より2%以上、上昇している。品目の数でも上昇が下落を上回る。原油安が物価全体を下押しする一方、パンやセーターなど生活実感に近い物価が上がる形だ。景気の足踏み状況が長引く恐れが出る中、日銀の金融政策の運営も難しくなっている。
 8月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年同月比で0.1%低下と、2013年4月以来2年4カ月ぶりにマイナスとなった。食品などに値上がりが広がる一方、原油安の影響で電気代やガス代などエネルギー関連価格が下がっているためだ。
 内閣府がモノやサービスの品目ごとに、消費割合を加味して伸び率の分布を調べたところ、2%程度以上伸びた品目が23.6%となった。消費者がお金を使うモノの4分の1は値上がりしている実態を示す。日銀が量的・質的金融緩和を始めた13年4月は1割程度にとどまっていた。
 品目数でも値上がりの裾野が広がっている。内閣府が値上がり品目の割合から値下がり品目の割合を差し引いて指数化したところ、8月は34.4ポイントとなり、上昇品目数が大幅に上回った。13年4月時点はマイナス23.5ポイントと、下落品目数の方が多かった。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「株式市場でも値上げが好感される場面があり、企業が値上げしやすくなっている」と指摘する。
 ただ、サービスを中心に値動きが鈍い品目もなお多い。8月は理美容サービスが0.1%上昇、交通費が0.4%上昇と、7割が横ばい圏となった。堅調だったのは宿泊料(4.5%上昇)や外食(1.8%上昇)など一部だった。
 SMBCフレンド証券の岩下真理氏は「訪日外国人の増加や食品の値上がりといった特殊要因がなければサービス価格が上がっておらず、安定した物価上昇の軌道に乗っていない」と話す。
 30日公表の9月の消費者物価指数の市場予想は0.2%低下と、2カ月連続のマイナスになると見込まれている。今後は原油安の影響が一巡する一方、円安による価格押し上げ効果も弱まってくる。安倍晋三首相は「脱デフレは目前」と説明するが、物価の全体を見て金融政策を運営する日銀にとって、デフレ脱却への道のりはなお遠い。


バブル崩壊後、日本では「流動性のわな」が長く続き、人々はモノよりおカネの保有を選好してきました。
インフレ期待時であれば、おカネの価値が日々下がるので、早くモノに替えておこうとし、需要が供給を追い越していきます。
逆にモノの値段が日々下がるのであれば、おカネからモノに替えるのはもっと先の方がいいと考え、需要が急速に落ちていきます。
銀行の利子がいくらゼロ%であっても、モノの値段が下がっていれば、おカネを持っていたほうが実質的な利子が付いているのと同じで、こうなると金利の操作で経済をコントロールしようという伝統的金融政策が使えない事態へと陥ります。
「アベノミクス」の一つとされる、日銀による「異次元緩和」という非伝統的金融政策とは、要するにおカネの価値を政策的に落とし、インフレを喚起させていくというものです。
それによって、国内のモノの値段は上がり、為替もドルに比べて円安となります。
モノの値段も無闇矢鱈と上がればいい、と言う話ではなく、年率2%程度を目標としよう、所謂「インフレ・ターゲット」を政府と日銀とで設定したわけです。
その中で、2%上昇がやや増えてきたというのが今日の記事です。
ただミクロ的にみると、確かにガソリンは安いが、パンやバターは値段は前と同じでも量が減っているので値上げ感があるとか、
ホテルでは安い料金設定が消えたどころか、人気の店は予約が取れないので、高い所でもいいという感じで、まだら模様でしょう。
デフレが長かった分だけ、人々のマインドがインフレに対して強い抵抗があって期待に繋がってない、というのもあります。

おそらく経済政策で、いまが一番難しい時期なんだと思います。
これだけ政策を打っても、物価が思った以上に上がってきてない、「異次元緩和」の副作用も言われ始めている、金融当局にとっては辛い話です。
しかし、ここが堪えどころなんですね。
政策の方向は正しい、打つべき手も全部打ってある、であれば政策の手を緩めてはいけないのです。
給与も増えつつあるし、重要な政策目標である失業率が3%台と低位なのですから、おカネは回り始めています。
アメリカのFRBもそろそろ金融緩和解除かと言われてきましたが、まだ改善できてない数字があるので、暫く緩和を続行することになりました。
批判はあるでしょう、しかし正しい政策は継続してこそ効果があるのです。
かつて「平成の鬼平」などとマスコミから持て囃され、全く間違った政策を打った日銀総裁がいましたが、金融政策は大衆迎合では困るのです。
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posted by 泥酔論説委員 at 09:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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