2015年10月22日

シリア大統領が電撃訪ロ プーチン氏、影響力誇示 内戦終結へ主導権狙う

22日朝刊7面【国際2】モスクワ=田中孝幸
 シリアのアサド大統領は20日、秘密裏にモスクワを訪れ、ロシアのプーチン大統領と会談した。ロシアの21日の発表によると、両首脳は9月末から続くロシアによる過激派組織「イスラム国」(IS)への空爆の継続について協議し、軍事面での連携を確認した。シリア内戦の収拾策についても話し合ったとみられる。ロシアがシリアの安定化に向けた協議を主導し、中長期にわたってシリアでの影響力を誇示する狙いが透ける。
 アサド氏の訪ロはロシア側の招待に応じたもので、クレムリン(大統領府)でプーチン氏と会談後、すぐにシリアに帰国した。タス通信によるとアサド氏の外遊は2011年に内戦が勃発して以来、初めて。
 プーチン氏は会談でロシア空軍による支援を受けたシリア政府軍が「国際テロとの戦いで相当な成果をあげている」と評価。「シリアでは旧ソ連出身者4千人がシリア政府軍と戦っている。彼らがロシアに戻るのは我々は許すことはできない」と述べ、ロシア国内のテロ対策上も空爆が必要だったと強調した。
 シリアの安定協議については「最終的には全政治勢力や民族・宗教グループが参加する政治プロセスを踏まえ、長期的正常化は達成できる」と指摘。「我々は戦闘だけでなく政治プロセスにも貢献する用意がある」と前向きな姿勢を示した。
 アサド氏はロシア側の軍事支援に謝意を表明。「戦闘の後に政治的措置がとられるのは当然だ」とも述べ、ロシア側が関与する停戦協議に応じる構えを見せた。
 プーチン氏が内戦中で危険な立場にあるアサド氏をあえてモスクワに招いた背景には、同氏に一部の反政府勢力と対話をさせるなど事態の収拾を急がせ、軍事介入の長期化を避ける思惑もある。
 ロシア大統領府によるとプーチン氏は21日、アサド政権と敵対するトルコのエルドアン大統領やサウジアラビアのサルマン国王とそれぞれ電話し、アサド氏との会談結果を伝えた。
 アサド氏は長年、中東で最大の親ロ政権を率いてきた。「ロシアが身の安全や影響力保持を図ってくれるとの信頼感があり、異例の外遊に踏み切った」(欧州外交筋)。訪ロで後ろ盾であるロシアの存在を内外に示す狙いとみられる。
 中東メディアによると一時はアサド氏が率いる政府軍は極めて劣勢にあったが、今月からロシアの集中的な軍事支援とイランからの地上兵力の参加を得て反政府勢力やISへの反転攻勢を開始。北部アレッポの周辺地域などを奪回しつつある。
 ただ、空爆支援だけではなお国土の半分以上を支配するISと反政府勢力に対して「政府軍が決定的に勝利するのは難しい」(ロシア国防省筋)。事態を放置して1980年代に失敗した旧ソ連のアフガニスタン軍事介入のようにロシア軍兵士の犠牲者が膨らめば、政権の支持率低下につながる懸念もある。ロシアの狙いはシリアでの親ロ政権の継続にある。当面はアサド大統領を支えつつ、近い将来同氏の退陣の見返りにアサド派やロシアの権益を認める体制に移行させる案が関係国間でとりざたされる。ロイター通信は、トルコの政府高官がアサド氏が半年間政権にとどまることを容認する計画を欧米各国と検討していると報じた。


プーチン大統領がシリア・ダマスカスを電撃訪問するものだと思っていましたが、アサド大統領をクレムリンに呼んだということで、そこにはいろいろな背景があったのだろうと思います。
いずれにせよ、このタイミングでロシアとシリアの首脳が会談することは、内容そのものより両大統領のツーショットを世界へ配信することに意味があります。
この写真をみれば、ロシアがシリア内戦だけでなく中東全域に大きな影響力を持ったことが今回明らかであり、逆にアメリカの力が大きく後退していることにもなります。
オバマ大統領には戦略がないと言われてますけど、いつも出たとこ勝負で何をやっても中途半端だし何も解決していない、最近もアフガニスタンからの2016年撤兵を見直すことになり、本当に世界の安全保障は大丈夫なのだろうかと心配になります。
一方、プーチン大統領と言えば自分からは決して事をおこさない、ウクライナにしろクリミアにしろシリアにしろ深く静かに潜行し、事態が誰にもどうしようもなくなった時点で初めて姿を表し、まず武力でもってエンゲージメントし、親ロ勢力の状況が有利になった所で和平の仲介をするというパターンです。
これはスマートだしカッコイイ、オバマ氏が引き立て役というかピエロにすら見えるぐらいです。

ロシアがウクライナ、クリミアを通って、シリア、イラク、イランへとインフルエンスを南下させている、これを「新南下政策」と仮に呼びましょう。
かつての「南下政策」は不凍港の獲得というのが目的でした、しかし弾道ミサイルを搭載した原子力潜水艦でロシアの核戦略は完結できているのですから、今更不凍港を遠くに求める必要はありません。
ロシアの狙いは、「世界の警察官」を降りたアメリカに代わり、ロシアによる新しい国際秩序を構築しよう、もっと言えばヘゲモニーの確立を意図しているのだと思います。
ロシア南部からペルシャ湾を結ぶ線は、彼らの地政学でピボット(軸)であり、戦略上非常に重要な地域なのです。
アメリカはTPPはじめ、身辺のブロック化に一生懸命で、また外交的失策も続いているので、これはチャンスだとロシアは考えているのです。
ここで問題となるのは、中国の存在だと思います。
中国もアメリカの後退に乗じて、自分たちの秩序を確立すべく「真珠の首飾り戦略」と称し、南シナ海からマラッカ海峡、インド洋、ペルシャ湾までの国益を確保しようと動いてます。
すると、交点である中東でロシアと中国は利害が衝突しますし、それは旧「南下政策」を阻止しようとするイギリスとの対立を想起させます。
今回のシリアへの介入も、こうした視点でもって見てみる必要があります。
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posted by 泥酔論説委員 at 09:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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