2015年10月15日

次の本命まだ見えず

15日朝刊3面【総合2】
 電池や制御ソフトといった電動化技術が世界の自動車業界で競争の焦点となってきた。トヨタ自動車はハイブリッド車(HV)で培った技術を燃料電池車(FCV)に応用する。ディーゼル車の排ガス不正問題に揺れる独フォルクスワーゲン(VW)は、電気自動車(EV)に開発の軸足を移すことを表明した。いずれの技術も本格的な普及には課題がある。
 「FCVは二酸化炭素(CO2)を排出せず、走行距離も長い。水素の充填にかかる時間もガソリン車並みだ」。14日の記者会見でトヨタの伊勢清貴専務役員はFCVがエコカーの本命になるとの見通しを示した。自動車大手ではホンダや米ゼネラル・モーターズ(GM)などもFCVの販売を計画している。
 水素ステーションの整備が本格的な普及のハードルとなっている。設置には1カ所当たりガソリンスタンドの約5倍に当たる5億円程度がかかる。日本国内の開設は2016年3月期までに100カ所程度にとどまる見通し。EVを手掛ける米テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「インフラ整備は難しい」と指摘する。
 EVはテスラや日産自動車が重点投資する。中国メーカーも開発に熱心だ。VWはイメージが悪化したディーゼル車に代わってエコカー開発の主軸に据えた。小型EV向けの新たな車台(プラットホーム)を開発し、複数のブランドで共用する。最上級セダン「フェートン」の新モデルはEVにする計画だ。
 そのEVにも課題はある。日産は12月「リーフ」の新モデルを発売する。1回の充電で従来より約2割長い280キロメートルを走行できる。それでも航続距離はガソリン車などに及ばないのが実情だ。販売地域も環境規制が厳しい米カリフォルニア州などに偏っている。
 各社は電池の性能向上に力を入れ一定の成果を上げているが、トヨタ幹部は「充電時間を短縮する技術のメドは立っていない」と指摘する。
 エンジンは約1世紀にわたり自動車の動力源の主役を担ってきた。しかし各地で強まる環境規制を乗り越えるには限界もみえてきた。各社はそれぞれの課題を解決するスピードが問われている。


世界の自動車シェアの2割を占めるトヨタとGMというビッグ2が燃料電池を本命としている以上、FCVが本流となるのでしょう。
しかし、ご案内のように燃料電池に使用される水素は、車内の高圧ボンベに700気圧で充填されるわけで、そんな爆弾のような代物を背後に乗せてるというのも、あまり愉快な気はしません。
また、高圧ボンベの形状はどうしても円柱状が耐圧性として良いのですけど、現在のLPG車のように自動車へ搭載するにはあまり効率的な形状ではありません。
ガソリンのような液化燃料ならば、タンクの材質や形状は如何ようにでも変えられるわけで、このあたりも高圧ガスを使うデメリットになっています。

これは、水素を供給するステーションでも同じ問題があり、インフラ整備には政府の補助金政策が必要なのは間違いないでしょう。
ステーション側が悩ましいのは、当面はガソリン車にもFCV車にもEV車にも供給できる体制を作らねばならないのか、例え補助金があったとしてもそれだけの設備投資するだけ売上が見込めるのか、という経営上の問題です。
唯でさえ、ガソリン価格の低下や省エネ化による需要の低下など、経営困難で廃業するGSが多く、GS空白地域などと呼ばれている所もあります。
地方であるほど、公共交通の代替としてクルマ社会化しており、しかし燃料の供給すら覚束ないのでは、人が住むことすら出来なくなります。
環境だ、エコだ、新技術だと言ったところで、人間が不便になってしまったのでは一体何のための技術かということでしょう。

もともと、19世紀に自動車が発明された当初は、蒸気と電気と内燃の3つの機関が共存しており、結局、効率性から内燃機関が現在まで生き残ったという歴史があります。
従って、電気と言っても新しいお話ではなく、ガソリン車のメリットを超えられなかったので、今まで普及してこなかったというだけなのです。
石油が枯渇してしまい、もう人類が入手できないというならばまだしも、環境のためだけに不便を承知で多くの人がFCVやEVを買うのだろうか、これが問題の核心じゃないでしょうか。
あらゆる点でガソリンを超え、消費者がメリットを享受できない限り、こうした技術と言うのは普及しないと思うのです。
どれも「帯に短し襷に長し」だからこそ、本命が見えてこないのでしょうね。


posted by 泥酔論説委員 at 09:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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