自民党は24日、党本部で両院議員総会を開き、安倍晋三首相(党総裁)の総裁再選を正式に決めた。首相はこれを受けて党本部で記者会見し「アベノミクスは第2ステージに移る」と経済最優先の政権運営を進める考えを表明。2020年に向けた経済成長の推進力となる新たな「3本の矢」として、合計特殊出生率1.8を目指す子育て支援策や社会保障の充実につながる介護離職ゼロなどを目標に掲げた。
新たな3本の矢は(1)希望を生み出す強い経済(2)夢を紡ぐ子育て支援(3)安心につながる社会保障――の3項目。首相は「長年手つかずだった日本社会の構造的課題である少子高齢化の問題に真正面から挑戦したい」と意気込みを示した。
経済の現状については「デフレ脱却はもう目の前だ」と強調。「国内総生産(GDP)600兆円の達成を明確な目標に掲げたい」と述べた。達成時期は示さなかったが、14年度に490兆円だった名目GDPを2割増やすため、女性や高齢者、障がい者らの雇用拡大や地方創生を本格化して「生産性革命を大胆に進める」とした。
子育て支援では、現在1.4程度の出生率を1.8まで回復させる目標を掲げた。子育てにかかる経済的負担を軽くするための幼児教育の無償化、結婚支援や不妊治療支援に取り組む。多様な価値観に対応するため「教育制度の複線化は不可欠だ」と指摘、奨学金の拡充やひとり親家庭の支援などにも言及した。
社会保障の充実に投資する考えも示した。「仕事と介護の両立は大きな課題だ」とし、家族らの介護を理由に退職せざるを得ない「介護離職」をゼロにしたいとの目標を示した。要介護度3以上で特別養護老人ホームなどへの入所を自宅で待つ待機者は現在約15万人おり、特養など介護施設の整備や介護人材の育成を進める考えも示した。
「豊富な経験や知恵を持つ人材が増えるととらえればチャンスだ」と指摘し、働く意欲がある高齢者への就業機会を増やす考えを明らかにした。これらを20年に向けた「日本1億総活躍プラン」としてまとめ、「50年後も人口1億人を維持する国家としての意思を明確にしたい」と語った。
「日本社会の構造的課題である少子高齢化の問題に真正面から挑戦」、となかなか意欲的な取り組みだと思います。
おそらく世界で最も速く少子高齢化が進んでいるのが日本だと言われており、このまま放置しておけば極端な人口減に伴い、経済もシュリンクしていくという国家衰亡への道を進みます。
これは日本の根幹を揺るがす大事なのですけど、真正面から取り組む政治家がいままで居なかったというのが問題でした。
移民政策というのも話題になってきましたが、まずは自力で持続可能社会をつくろうというのが安倍首相の目論みのようです。
確かに移民政策なら、ローコストで急速に生産労働者が増える代わりに、移民が社会に与える影響も大きく、これはフランスなどでも観察できる現象です。
安倍首相の選択は、経済成長はモデレートなスピードに抑え、多様な政策によって少子高齢化を改善していこうというものです。
経済問題は人口問題だと嘆く方々にとっては、穏健すぎる考え方なのでしょうが、ただ極論による社会の混乱も政治家としては考慮しなくてはならず、こうした政策判断になったのだと思います。
しかし、先進国のみならず中国ですら少子高齢化が顕在化してきており、日本の取り組みは世界の先頭を走っていることになります。
逆に言えば、日本にとって「お手本」がないわけで、いままでキャッチアップな政策で進んできた私たちにとって、世界に「輸出」できる政策を生み出そうとしていることでもあります。
久々に覗いてみたら更新されてる、吃驚
懐かしい文体だ