2015年09月22日

企業版ふるさと納税」寄付額の6割、減税で還元 来年度から 税優遇、現行制度の2倍

22日朝刊1面
 政府が2016年度の創設を検討している「企業版ふるさと納税」の原案が分かった。企業が地方自治体に寄付した場合、寄付金の約6割に当たる金額が減税で手元に戻るようにする。現行の寄付税制も約3割は戻ってくるが、2倍にして寄付を促す。企業は実質的に約4割の負担で寄付できるようになる。都市部の企業が創業地などに寄付することを見込み、地域活性化につなげる。
 菅義偉官房長官が6月、「自治体に民間資金を投入する」として16年度に企業版ふるさと納税を導入する考えを表明した。個人の自治体への寄付を税制優遇する個人版のふるさと納税が根付いてきたことから、地方経済のテコ入れに向けて企業版も創設する。
 政府のまち・ひと・しごと創生本部が原案を作った。これをたたき台に政府内で検討を進め、年末の与党協議で最終決定する。16年の通常国会に地方税法などの改正案を出す。3月期決算企業は早ければ16年4月以降の寄付が対象になる。
 現行の寄付税制では企業が都道府県や市町村に寄付すると全額が課税所得から控除され、法人税や法人住民税などの負担が軽くなる。所得にかかる法人実効税率が約3割のため、例えば100万円を寄付すると税金が約30万円減る。企業の実質的な負担は約70万円で済む計算。寄付を受けた自治体は比較的自由に使途を決めることができる。
 企業版ふるさと納税では税優遇を拡充し、寄付の約6割に当たる額の税負担が減る。100万円を寄付した場合、税金の支払いが現行制度よりも合計約30万円減る。寄付をする企業の負担は約40万円に抑えられる。法人税や法人住民税などのうちどの税金を対象とするかは政府内で調整するが、財務省は国税である法人税の減税に慎重だ。


「寄付」という文化は、欧米に較べて日本では根付いてない、などと言われてます。
でもどうなのでしょう、歌舞伎の名場面『勧進帳』のように昔から寺社の修繕や建て替えなどの際は、諸国を回って寄進を募ったりしてきました。
寄進した人たちの名前を刻んだ石灯籠や石塔が残されてますけど、文化としてはしっかりとあったのだと思います。
今や、クラウドファンディングという、ネット上で資金を集めることも珍しくなく、これも寄付の一つなのでしょう。
やはり、ビジネスベースに乗らない事業や公的性格の強い事業が、寄付によって支えられるのは古今東西同じです。
しかし、寄付の総額でみると、アメリカでは年間20兆円を超える個人寄付に対し、日本では個人と法人で約1兆円程度とGDPを勘案してみても、我が国はかなり低調であることが伺えます。
一つには、従来から言われてるように税制の問題が依然としてあります。
国など大きい所への寄付は課税控除が簡単なのですが、民間同士の寄付の控除手続きは非常にハードルが高い。
「寄付」と言う名での脱税や地下経済への抜け道になることを恐れてのことと、税収が減ることへの懸念などが理由なのでしょう。
これはこれで一理ありますけど、これからの日本社会は国や行政が何でもやってくれるという時代が終わり、民間そして個人の力が公共的、公益的事業を担うというのに、その血液となる資金、即ち寄付金が税制によって細ってるままでは実現など到底無理だと思うのです。
出資というビジネスベースのおカネからはしっかり税金をとり、寄付というリターンがないおカネは控除する、話は非常に簡単です。
脱税云々は、出資だろうが寄付だろうが同じであり、控除のハードルを下げたり手続きの簡素化とは関係ありません。
税務当局の本音は、税収が減るという一点なんだと思いますが、その分、社会のために役立つ事業に国が「投資」してるんだと考えればいいのですよ。
いずれにせよ、税金をとることよりおカネを社会に回すことの方がずっと良い結果を生むことになるのです。


posted by 泥酔論説委員 at 09:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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