2015年09月09日

ASEAN「中間派」中国離れも 南シナ海進出に危機感

9日朝刊2面【総合】編集委員 秋田浩之
 アジア秩序の主導権をめぐり、激しくぶつかる米国と中国。その行方を左右する東南アジア諸国連合(ASEAN)の重心は、米中どちらに傾いていくのか。いま、日本が注目すべき“異変”が静かに起きている。
 南シナ海に面したマレーシアの軍事基地で、これまでにない光景が見られるようになった。米軍機がやってきて燃料を補給し、飛び立っていくようになったのだ。
 利用しているのは、米軍の最新鋭の対潜哨戒機P8。内情を知るASEAN関係者らによると、マレーシアはひそかに、昨年後半から2カ所の軍事基地の利用を認めるようになった。1回の飛行ごとに許可を得る決まりで、P8の情報はマレーシア側にも提供されているという。
 岩礁を埋め立てるなど南シナ海で強気に振る舞う中国をにらみ、米軍を側面から助けようというわけだ。前出の関係者は解説する。「米軍への協力は非公表だが当然、中国も気づいているはず。マレーシアは多少、中国の反発を招くことも覚悟のうえでやっている」
 以前なら考えられなかったことだ。「マレーシアは南シナ海で中国と島々の領有権を争いながらも、中国に融和的な姿勢を崩さなかった」(ASEANの外交官)
 領有権問題で中国と正面からケンカするフィリピンやベトナムとは対照的だ。マレーシア政府筋は理由をこう明かす。
 中国と表舞台でぶつかるより、水面下で静かに交渉した方が妥協を得やすい。実際、中国はフィリピンやベトナムほどにはわが国に軍事挑発をしてこなかった――。
 ではなぜ、中国が怒るのを承知で米軍に基地利用を認めたのか。発端は中国の行動にある。
 中国海軍は2013、14年春の2度にわたり、マレーシア沖で演習を実施。今年6月には近海に中国監視船が現れ、マレーシア軍艦船とにらみ合いになった。いずれもマレーシアの排他的経済水域(EEZ)内でのことだ。同国当局によると、08〜12年だけでも35回、中国艦船がマレーシアのEEZに入ってきた。
 危機感を抱いたマレーシアは、03年は6回だった米軍艦船の寄港受け入れを、12年以降は4〜5倍に拡大。南シナ海沿岸に自前の海軍基地を設けるほか、上陸部隊をつくる計画も決めた。
 「ソフトな対中路線だけで大丈夫なのか、マレーシア政府内で疑問の声が上がっている」。マレーシアの戦略国際問題研究所のロックマン上級分析官は背景をこう説く。
 マレーシアの軸足が動けば、ASEAN全体の対中姿勢の「重心」も変わる。いまはおおむね、(1)南シナ海問題で対中強硬派のフィリピンやベトナム(2)中国に近接する親中派のカンボジアやラオス(3)中間派のマレーシア、インドネシア、タイ――に色分けされる。
 中でも全体を大きく左右するのが(3)の中間派。マレーシアと並び、注目されるのが、ASEAN人口の約4割を占めるインドネシアだ。
 中国と南沙諸島の領有権問題を持たないインドネシアは、今でも中立的といえる。ただ、この2、3年、豊かな天然ガスが眠る同国のナツナ諸島近くにも中国艦船が南下するようになり、内心、警戒を強めている。
 そこでインドネシア軍は米軍と今年4月に偵察、8月には上陸演習を実施した。インドネシア海軍関係者は「米軍との演習をさらに定期化していきたい」と語る。ナツナ諸島付近の海軍基地も増強する方向だ。
 「もともと、わが国に必要な海軍力と現戦力には大きな開きがあった。海軍力を増強していく」。ジョコ大統領の外交ブレーンでもあるインドネシアのスクマ戦略国際問題研究所所長は話す。
 一方、同じ「中間派」でも、タイは中国に近づく兆しがある。軍事クーデター後、米国などから制裁を浴びているためで、中国軍からの潜水艦購入にも動く。
 世界の原油や液化天然ガス(LNG)の半分近くが通る南シナ海。この地勢図がどう転じるかは、日本の経済にも直結する。その先行指標ともいえるASEANの「中間派」の動きから、目が離せない。


ご案内のとおり、マレーシアには華僑が多く、オフィスなどでは9割方中国系だなんてこともあります。
中国という大国と陸で繋がっている半島国家の多くが、かつて中国王朝からの侵略を受けてきた歴史があり、だからこそ歴代王朝との関係をどう構築するかが民族の死活問題となっていたわけです。
侵略されるがまま滅亡した民族は数多く、しかし中国に勝ったからと言って「朝貢」が許される程度の厳しい宗主関係が何千年も続いてきたのです。
「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無しや、云々」だなんて初心さは、中華帝国からしたら当時の国際環境を知らない、礼節なき輩と思ったことでしょうし、そりゃ煬帝でなくたって立腹しますよ。
やがて、中華帝国というスーパーパワーが東アジアを支配していた時代が終わり、日本がその地位を取って代わろうと失敗した後は、アメリカが70年ほど支配を続けてきました。
しかし、「偉大なる田舎」と呼ばれ内向き志向の米国民にとって、遠くの見知らぬ地に自分たちの息子をいつまでも出しておくだなんてことは心理的にも抵抗があったわけで、ここ20年程の米軍縮小はこうした背景があったのです。
もともと、太平洋戦争終了直後からすぐに平時体制に戻りたくて極東方面で大規模な復員を計画していたアメリカが、尚も兵力を維持せざるを得なかったのは、朝鮮戦争に端を発した「アジアの共産化」に備えるためであります。
やがてソ連が崩壊し、中国も「政治的には社会主義、経済的には市場経済」などという訳の分からない体制によって、「アジアの共産化」というイデオロギー路線が衰退する代わりに、今度は覇権主義による膨張路線を中国が取ってきたことに対して、周辺の小国はまた侵略王朝の記憶が蘇ってきたのだと思います。

同盟と言うのはいろいろありますが、小国同士の同盟は「弱者連合」として、大国からは「しゃらくさい」と見られるそうです。
やはり、大国との強い同盟ネットワークこそが、抑止力として機能するのは当然で、中国を選ぶのかアメリカを選ぶのかと言えば、やはり自由民主主義陣営と組んだ方が何かと安心だという価値観の話になります。
アメリカとしても、大規模な兵力をアジアに張り付けておくより、基地機能を要所に確保さえできていれば、あとは世界一と呼ばれる米軍のプロジェクション・パワーを使って、いつでもどこでも必要な部隊を展開できるので都合が大変良いのです。
在沖米軍はその典型例で、平時には空軍や陸軍は司令部要員しかいませんし、海兵隊も大隊規模のローテーションで基地を使用しているだけですけど、いざ有事となれば米本土はじめ世界中から部隊が集結することになります。
中国にとってはこれほど厄介な存在はなく、早く日本から米軍基地を撤去して貰いたいと切に願っているはずです。
そのような事情ですので、マレーシアやインドネシアの動きにも中共政府は大変警戒しています。
今後、日本も日米同盟を活かして、太平洋方面での同盟ネットワークの構築を進めていくのが国益だと思います。
posted by 泥酔論説委員 at 10:39| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お帰りなさい、泥酔さん。

「お気に入り」のリンクのURLが違ってるので、そのうち修正ください。

「泥酔論説委員の日経の読み方」の読み方 Part10
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/mass/1284174483/

ともあれ復活されて良かった。
Posted by at 2015年09月09日 22:13
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