2015年09月05日

英、シリア難民受け入れ 数千人規模、世論反発で転換

5日朝刊6面【国際1】ロンドン=小滝麻理子
 英国のキャメロン首相は4日、中東などから難民や移民が欧州に押し寄せていることを受けて「英国はシリア難民を数千人規模で受け入れる」と表明した。大国でありながら難民対策に消極的な姿勢を示していた政府に対し世論の反発が高まったため、方針転換した。
 キャメロン氏は訪問先のポルトガルでの記者会見で「英国は難民の危機を長期的に解決できるよう真摯に取り組む」と発言。内戦が続くシリアからの難民増加が見込まれるなか、受け入れ規模を拡大すると話した。具体策を近く発表する。
 キャメロン氏は「どんどん難民を受け入れることが解決にはつながらない」と消極的な態度を示していた。だがギリシャに渡航中に死亡したとみられる男児の写真が報じられ世論や野党からの批判が急速に高まった。英議会のサイトでは、より多くの難民支援を求める嘆願への署名が35万人を超えており、こうした圧力に対応した形だ。


「どんどん難民を受け入れることが解決にはつながらない」、なるほどその通りなのですけど、連日欧米のテレビでは中東・アフリカからの難民を報じている以上、世論が受け容れに動くのも仕方ありません。
湾岸戦争の時でしたか、クゥエートに侵攻したイラク軍の残虐行為を少女がテレビカメラの前で語り、それが欧米世論を突き動かしたこともあり、こうしたものは大きな力を持っているのです。
しかし、どれぐらいの難民が欧州に渡ってきているのか、正確なところはよく分からず、無限に受け容れるわけにもいかないという本音の部分もありましょう。
ドイツなどは、受け容れに消極的な東欧諸国に応分の負担を求め、それに応えなければ難民受け容れを規定したEU協定からドイツ離脱を示唆したり、経済危機のギリシアでは大量の難民が観光地を占拠したため、肝心の観光収入が激減するなど、欧州では深刻な問題と化しています。

問題の元はといえば、「アラブの春」とか言って北アフリカ諸国やシリアなど「独裁政権」に対して「民主化運動」を欧米が支援したことに端を発します。
それで「独裁政権」が倒れる、あるいはシリアのように弱体化したのは結構なんでしょう、だが「民主化」とは程遠い大混乱が「アラブの春」の結果です。
イスラム原理主義のISなどが独裁者の代わりとなり、却って独裁時代より状況が悪くなってしまいました。
アメリカも涼しい顔をしてますけど、オバマ大統領が「レッドラインを超えた」とか宣言したわりに、中途半端な対シリア政策によって、むしろイラクにもISが伸張するなど失政だらけです。
欧州は、こうしたツケを払わされているのですね。
だが、「アラブの春」を積極的に推進したわけでない東欧諸国にしてみれば、なんでこっちにも請求書を回すのだということで、ドイツの身勝手さに怒っていると思います。
難民の押し付け合いが進むと、EU内の亀裂が深まり、治安の悪化や差別問題、経済問題など一気に吹き出すのでしょう。
結局、根本的な解決は「アラブの春」で荒廃した国の政治・経済を安定化させる以外になく、それに欧米がどう関わるのかの仕組みを作らねばなりません。
壊すのは簡単ですが、作り上げるのは大変なんです。

これは、遠い所の話ではありません。
東アジアでも、北朝鮮そして中国という不安定要因を抱えています。
直近では、北朝鮮で混乱が起これば大量の難民を産み出すと考えられてます。
南ベトナム政権が倒れた際、ボートピープルと呼ばれ多くのベトナム人が難民としてフィリピンなどに流れ着いたことを思い出して下さい。
38度線を越えて韓国だけでなく、海から日本へ大量の難民が流れ着くことは想定しておく必要があります。
あるいは、中国や韓国から難民受け容れを要請されるかもしれない。
難民や移民には縁がなかった日本にとって、これは国論を二分する大問題になります。
その時どうするのか、政府には何か策があるのかもしれませんけど、国民には覚悟もコンセンサスも全くありません。
今回のように、子供の遺体が日本の海岸に漂着し、世論が沸騰したらどうなるのか。
安保法制の議論を見ていても、どうも日本では「そんなことは起こり得ない」とか高を括って議論せず、一旦事が起きると情緒的に過激な反応をする傾向があります。
しかし、「想定外」はもう止めようじゃないかというのが、大震災からの教訓だったはずです。
五輪エンブレム騒動でメディアが盛り上がるのも結構ですが、もっと深刻な事態を今からでも議論した方がいいと思いますね。

posted by 泥酔論説委員 at 12:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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