2012年06月17日

劇場法が問う橋下改革

17日朝刊2面【総合・政治】風見鶏
編集委員 西田睦美
 会期末が迫るなか、劇場法案が議員立法で国会に提出された。全会派が賛成しており、順調に進めば今国会で成立する見通しだ。
 正式名称は「劇場、音楽堂等の活性化に関する法案」。超党派の音楽議員連盟(中野寛成会長)が法制化に取り組んできた。ハコモノ中心の文化振興政策から、実演芸術を支える人材養成などのソフト面に重点を移す狙いを込めている。
 根拠法がなかった劇場などを「文化施設」と定め、無形文化遺産である実演芸術を守り、育て、創り続けていくことは「今を生きる世代の責務ともいえる」とうたっている。
 音議連幹事長の鈴木寛・元文科副大臣は「大学と劇場が一緒になって、制作者などの人材を育成する道が広がっていくだろう」などと意義を説く。自民党の河村建夫元文科相も「実演芸術をしっかり法律で支えていくのが狙い。劇場に携わる人材の強化について一番議論した」と語る。
 2001年に施行された文化芸術振興基本法を肉付けする法案となる。
 そこで問われるのが、橋下徹大阪市長の市政改革で揺れる、人形浄瑠璃文楽の行く末だ。橋下氏は検討中の市政改革プランで文楽協会への市の補助金を25%削減する方針を打ち出し、文楽の技芸員や愛好家の恨みを買っている。
 文楽協会は文楽の保存・普及のために設けられた公益財団法人で、国や大阪府、大阪市などから補助金を受けてきた。橋下氏は府知事時代に府の補助金に大なたをふるい、今度は市の補助金削減に熱心だ。さらに補助金が減れば、若手の養成事業などに支障が出ると懸念されている。
 文楽大夫で人間国宝の竹本住大夫さんは毎日新聞のインタビューで「文楽があまりに軽く見られておるんです。芸術や文化に対する理解がなさすぎる」と橋下氏を批判した。ある技芸員からは「文楽の世界に入ろうとする若い人をためらわせる風評被害も出ている」という嘆きを聞いた。
 一方、橋下氏はツイッター上で住大夫さんの発言に反発。「なぜ文楽が衰退したのか。それは技芸員をはじめとする当事者の意識である」と突き放した。
 松竹の大谷竹次郎会長が不採算の文楽を献納する決意を固め、自民党の大野伴睦副総裁に国の保護を求めたのは1962年のことだった。大野の尽力で国のほか府、市、NHKなどの助成金で文楽協会を設立することが決まった。
 大谷は「血涙を流しつつ経営して参りましたのも無駄に終わらず、世界最高の文化的郷土遺産を守り得たことをいささか誇らしく感ずる」と記している。
 商業ベースにのりにくい文楽のような伝統芸能は、パトロン抜きでは成り立たない。が、大野裁定の枠組みは風前のともしびである。
 劇場法は国や地方自治体が「財政上、金融上の措置を講ずるよう努める」と規定し、自治体には地域の特性に応じた施策を策定し、劇場等を積極的に活用するよう求めている。
 大阪は文楽発祥の地であり、大夫は大阪弁で義太夫を語る。国立の文楽劇場を抱える地の利もある。ユネスコの世界無形文化遺産に登録されたソフトパワーを生かさぬ手はない。
 橋下氏は補助金がなくてもやっていける歌舞伎や落語が好みのようだ。それも楽しいけれど、文楽のない世界はちょっと味気ない。文楽劇場で、忠義のために我が子を犠牲にした松王丸(菅原伝授手習鑑)の姿を眺めながら、そんな思いを新たにした。


「保守」とは歴史を知っているということです。
橋下市長を「保守」だと言う見方に、泥酔ブログは真っ向から異を唱えています。
左派系の人から見れば、自分たちと違う人たちは一緒くたなんでしょう、国旗を掲げたり国歌斉唱を強制する輩は「ウヨク」だなんてカテゴライズして悦に入ってるのかもしれませんが、共産主義諸国にあっても「こんな国旗は戦争を想起させるので掲げない」とか「国歌が元首礼賛なので歌わない」とか公言すれば、国家に対する反逆を問われますよ。
そう考えると、左派だ左翼だと言っても別にイデオロギーに根ざしてるものでなく、単なる反政府主義みたいな立位置なんでしょうし、だったら右派だ右翼だって人々も「現体制はケシカラン」とか言ってる以上、左の人たちとあまりスタンスに変わりがないように思えます。
すると橋下市長も「保守」ではなく、左も右も一緒の「現体制はケシカラン」派に所属するのではないでしょうかね。
であれば、彼の言動も先が読めます。

ご案内のとおり、文楽とは大阪発祥の人形浄瑠璃劇場のことでした。
歌舞伎と人形浄瑠璃は成り立ちが違いますが、江戸と大阪の芸が互いに影響し合いながら質を高めて行ったことはよく知られています。
「仮名手本忠臣蔵」など歌舞伎の演目の多くが人形浄瑠璃を翻案しており、人情話と言えば浄瑠璃の太夫が歌舞伎の舞台で語ります。
そうした相互作用の歴史を知っていれば、「観客が集まらないのは全ては自分たちの責任という意識が全くない。観客が集まらないことには原因がある。それは全て文楽界の責任だ。それを他人の責任へ転嫁し、伝統があるから税で守れと当然のように言い続ける。税を用いることへの謙虚さが全くない。税は一般市民が血みどろになって収めているカネだ」なんて到底書けないでしょ。

文化を潰すのは簡単ですよ。
アフガニスタンのタリバンが、バーミヤーンで磨崖仏を爆破したように、本当に一瞬で消滅させることが可能です。
それが歴史だというのも事実です。
しかし、歴史を知悉する「保守」ならばそれが間違いだとも知っています。
左も右も一緒な「現体制はケシカラン」派だ、そんな中学二年生の御仁が大阪市長さんだということですよ。


posted by 泥酔論説委員 at 22:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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