電力需給の逼迫を防ぐには原子力発電所の再稼働に道筋をつける以外にも幅広い手立てが要る。需要を抑えるうえで効果的なのは価格メカニズムを働かせることだ。政府と電力会社は節電の励みになる料金制度づくりを急ぐべきだ。
節電を促す料金体系を政府は今年の夏前から目指していたが、遅々として進んでいない。この冬も1日のピーク需要に対する電力供給力は関西電力で最大9.5%、東北電力で5.3%、九州電力で2.2%不足する見通しだ。料金制度を工夫する必要がある。
使える電力の上限を定めた契約電力を利用者が自ら下げると、料金が安くなる制度は、現在は一部の電力会社が設けているにすぎない。契約電力の引き下げは1日の最大需要の低減につながる。
電力需要をピーク時以外に分散させる効果が大きいのは時間帯別の料金制度だ。夏と冬には冷房や暖房の使用が集中しがちな時間帯と比べ、それ以外の時間帯の電気料金を割安にすれば、需給の逼迫を避けやすくなる。
東京電力管内での最大電力需要を今夏と昨夏で比べると、電力使用が制限された大口需要家では29%減ったが、家庭は推定で6%減にとどまった。政府と電力会社は電力の使用状況がリアルタイムでわかる次世代電力計の設置を急ぎ、普及した地域から順次、時間帯別料金制を設けてはどうか。
計画停電などという統制経済がいかにバカバカしかったのか、我々は身を持って知った年でした。
こんなことを二度と繰り返してはならず、それには人々の自発的な節電モチベーションを高める制度を設計する必要があると言うのが社説子からの提案です。
電気料金の問題に対し、電気事業者が儲け過ぎだとか、コストを過大に計上しているのではないかとか本末転倒なことを経産大臣らが語っているのを観て、この人たちには物事の本質を全く捉えてないのだなといつも感じるのです。
国家が本当に問題にすべきことは、規制によって電気料金制度が硬直化していることであり、これが一律的な供給統制以外に電力の抑制や効率化を封じているという部分です。
例えば、高速道路はETCによって時間帯別料金を柔軟に設定できるようになり、交通流の平準化に寄与しています。
ところが、一部の被災地でやったような一律「無料化」はインターや料金所の渋滞をもたらし、制度として明らかに誤っていました。
料金とシステムをうまく適合させれば、需給をバランスさせることが可能である、これが新自由主義的なアプローチです。
電力で言えば、スマートメータの設置によって需要側が最適の電力量を自ら設定できます。
そこに時間別・季節別などの料金体系があれば、需要側が電力抑制を積極的に担うことが可能です。
もちろん、スマートメータを設置するだけで電気料金を安くするという、普及のための誘導も必要でしょう。
政府は「儲け過ぎだ」とかで電気事業者の頭を押さえつけるのでなく、エネルギー政策が国益を左右するのだという考えでもって、政治を行なってもらいたいのです。