「大阪都」構想への再挑戦を掲げた地域政党「大阪維新の会」が知事と市長の大阪ダブル選で勝利を収めた。「都」構想は5月の住民投票では否決されており、何が民意かが見えにくくなった。大事なのは税金の無駄遣いをなくすという原点に帰ることだ。大阪を巡る混乱に終止符を打ってほしい。
今後、大阪維新は「都」構想の実現を目指すことになるが、府議会、市議会とも過半数を占めていない。自民、公明、共産各党などと対立を続ければ堂々めぐりの議論が続くことになる。
自公共とも府と市が同じような施設づくりをする二重行政をよしとしているわけではない。大阪維新は敵を徹底的に批判する政治手法で人気を集めてきたが、どうすれば合意形成ができるかにそろそろ目を向けるときだ。
大阪維新を立ち上げた橋下徹氏は来月の市長任期切れをもって政界から身を引くと明言してきた。代表を外れたら党運営への発言は慎み、二重権力状態になるような振る舞いは避けるべきだ。政治にかかわり続けるならば、引退発言をきちんと撤回するのが筋だ。
それにしても構図のわかりにくい選挙だった。表向きは知事選も市長選も自民党と大阪維新の事実上の一騎打ちだった。
その一方で安倍政権中枢の菅義偉官房長官が大阪維新の松井一郎知事と告示直前に会談するという出来事があった。安倍政権打倒を訴える共産党は自民党候補を全面支援し、国政与党の公明党は自民党と組まずに自主投票だった。
国政選と地方選で政党の組み合わせが違うことや、党本部と地方組織の思惑がずれることは珍しくない。が、これほどいろいろな要素が絡むと大阪の有権者も何を基準に投票してよいのか迷ったことだろう。選挙結果が安倍政権に及ぼす影響も即断できない。
はっきりしたのは、大阪維新には地元で根強い支持があることだ。「都」構想一辺倒でなく、国政の第三極として何を目指すのかを示す責任がある。
一口に「民意」と言いますが、よく分からない所があります。
社説子も「構図のわかりにくい選挙」と素直に解説のし難さを白状してますが、大阪の「民意」は府市改革>橋下維新>非維新というプライオリティなのかもしれません。
政治とは、よりマシな方を選ぶ作業だと言われてますが、府市の改革は都構想でないにしても非維新にはできないというのが「民意」なのでしょう。
都構想住民投票否決で政治的に死んだと思われ、維新の党分裂で縮小均衡に陥っていたのに、昨日の府市長選で復活させてしまう、「民意」はジェットコースターのように上下します。
橋下維新にはいろいろ不満はあっても非維新よりマシということで、むしろこの「民意」を府知事と新市長がどう受け止めるかが最も難しい部分じゃないかと思うのです。
「代表を外れたら党運営への発言は慎み、二重権力状態になるような振る舞いは避けるべきだ」、これは八百屋で魚を売ってくれと言ってるようなもので、市長を辞めた橋下氏は大阪行政への介入だけでなく、国政に出てくると言われてます。
維新の党分裂の時も、役員でもないのに政党を外からかき回した実績があるぐらいで、彼に黙ってろって方が無理だと思います。
まして、来年は大阪維新を国政政党として立て直すわけですから、いろいろ過激な発信をしてくるでしょう。
それはそれで結構ですが、大阪維新がどういうスタンスなのかが問われることになります。
新党大地のように、ローカルパーティーとして国政に関わるのか、それともまた「第三極」として全国政党化していくのか、橋下氏の発言からはどうも後者のような気がします。
そうだとすると、自民党と一緒に所謂「改憲」を掲げるのでしょう、来夏の参院選は「改憲」をテーマに橋下氏の出馬が取り沙汰さていますが、今回の大阪府市長選の勢いをみると、強ち観測気球だけではないようです。
安倍首相としても、「改憲」を実現するチャンスとして橋下維新の動向は注視していると思いますし、勝てると見込んだら衆参ダブル選挙にも打って出てくるでしょう。
いずれにせよ、来年の政治状況は橋下氏に委ねられていますし、大阪の民意が日本を動かすかもしれないのだと思います。